レポート

小学校が食品工場になった!

但馬醸造所

2015.03.23

但馬醸造所社屋社屋は小学校

懐かしき学び舎…いえ、実はここ平成18年に廃校となった旧大屋町立西谷小学校です。
80%以上が森林という但馬地域において、私もまだまだ行ったことのない地域がたくさんありますが、ここもそのひとつ。名瀑天滝に近い、けっこうな山間部です。
お酢づくりなどをする食品製造会社がこの廃校を活用していると聞き、やって来ました。

校舎の備品もそのまま
教室の一角に並ぶ商品
建物はほぼそのまま。教室は事務所や販売スペースとして使用している他、小学校の備品などを展示して一般の方にも開放されています。
元理科室は、製品の検査や開発を行う研究室に。見たことのない機械がいろいろ。

理科室で研究!?この機械は?

養父市が廃校活用の企業誘致でアプローチをかけたのが「日の出みりん」で有名なキング醸造株式会社。
新たな酢の醸造工場用地として、この土地の豊かな自然と水質の良さが決め手となり、平成20年に「但馬醸造」の名前でスタートし、その後「日の出通商(株)食品カンパニー 但馬醸造所」として営業中。

工場長の挑戦

理科の先生、、、ではなく大友工場長本社から工場長として大抜擢されたのがこちらの理科の先生…ではなく、大友進さん。以前、2年程社内で酢の生産に関わった経験を買われたそうです。
「ただ私はその後20年以上営業に移っていたので、寝耳に水の話でした」と、大友さん。
稲美町のご出身でそれまで但馬のことはまったく知らなかったとか。突然の単身赴任、さぞ苦労されたことでしょう…

「雪には驚きましたね。駐車場に入れなかった」と苦笑い。
地域の人柄の良さに助けられていると話します。

新たな商品が日々開発されている
7年目を迎え、20種類以上のラインナップ。
国内だけでなく、アメリカやオーストラリアにも販路があるのだとか!
昨年は新たにお酒の販売を開始されました。(酢はお酒からできるんですって。知らなかった!)
「地元の原材料にこだわりたいので、地域の方に協力してもらってお米はすべて自社生産しています」と、大友さん。
3年前からゆず栽培も始め、今後はぽん酢やゆず酒に使用していきたいとのこと。
大徳醤油やこがね味噌など、地元企業とコラボした商品開発も進めています。
「地元の人と積極的に関わっていくのがうちの社風」と、食事会や料理教室など交流の場を設け、今ではすっかり地域密着の地元企業として定着しました。

多彩なラインナップ

商品ラインナップほんの一部をご紹介。
「酢料理名人」は、開業当初からの売れ筋商品で、料理に欠かせないという地元ファン多数。

冬季限定「かに酢」は、スプレー式で料理に少量、まんべんなくかけられる優れもの。

全国で初めて、独自の発酵技術で完成した「生姜酢」は、永谷園生姜部(真に生姜を究める部らしい)からのオファーもあり。「これを使ってラムネも作っちゃいました」と、大友さん。へぇーおもしろい!
「あんまり売れてませんけど…」
がーん。
その後、開発した「養父ジンジャー」は女性を中心に大人気とのこと。神社とジンジャーがかけてある、ぷぷ。体が芯からあったまります。

商品開発に意欲的な大友さんは、遊び心のあるとってもユニークな方。柔軟な発想力に加え、長年営業で培った行動力と人脈を生かされています。
「どうせならとことんやりたい性分。失敗してもどんどんやらせてくれる会社の方針に支えられています」と笑顔で話します。

廊下にも作品教室にも作品
ちなみに但馬醸造所の商品ロゴは養父市の書家、前田華汀さんによるもの。社内にはギャラリーと、アトリエも設けられています。

夕暮れ?工場のお酢づくり

夕暮れのような工場内
大友さんに工場を案内してもらいました。
元体育館ががらりと様変わり。
虫除けのためのオレンジ色の窓ガラスが夕暮れ時のような不思議な空間をつくりだしています。
巨大なタンクが並ぶ光景に、思わずはっはぁ〜と声がもれてしまいました。

何やら近代的な装置こちらには大きなタンクも

近代的な様相に、ただただびっくり。
そして、初めて知るお酢の製造工程。
お米からいったんお酒を作り、酢酸菌を加えて発酵させたものがお酢になるそうです。

昔ながらの静置発酵法を行う部屋発酵中のお酢

「基本は昔ながらの静置醗酵法。約1ヶ月かけて自然発酵させ、その後2ヶ月寝かせます」と、大友さん。
体育館の横につくられた杉板貼りの「発酵蔵」は、酢の香りが室中に充満しています。
タンクをのぞくと表面に酢酸菌膜なるものが…これが順調に発酵している証なんだとか。
じっくり時間をかけることで、風味豊かでまろやかなお酢ができあがるそうです。

とても高価らしい装置こちらは製造工程を1週間程に短縮できる発酵の機械。(ものすごく高価、驚きのお値段!)
大友さんいわく「うちの強みは、自然発酵、通気発酵、両方の設備が整っていること」
製品によって製法を使い分けているそうです。

きびきびと働くみなさん。清掃の行き届いた工場内。きっちりとした品質管理が伺えます。(もちろん私も菌を持ち込まないためキャップと白衣を着用!)
但馬醸造所の従業員は20名で、ほとんどが地元養父市の方。西谷小学校の卒業生もいらっしゃるそうです。まさか母校で働くことになるとは、思いもよりませんよね。
工場内をめぐりながら、大友さんが年齢など関係なく気さくに皆さんと言葉を交わすのが印象的でした。

白衣を着て衛生管理もちろん角田も白衣を着て取材
工場長お手製の酢料理

最後に大友さんがご自宅で作った酢漬けをごちそうしてくれました!うれし〜い!
岩津ねぎ、いりこ、ウズラの卵…お好みの材料を「酢料理名人」に2〜3日漬けるだけなんですって。
いただきます…お、お、おいしい!
ほんのり甘くてやさしい酸味。
最高です!
おそらく誰でも失敗しないってとこも最高!
これは家でもつくるべし。
大根、かぶら、生姜もおすすめですー、と。
大友さん、ごちそうさまでした。

教えて!但馬のココを案内したい!

但馬醸造所 工場長 大友進さん
「天滝はしんどい思いをしても見に行く価値有り(片道30分ほどの登山です)。毎年研修生たちも連れて行きます」

但馬醸造所

〒667-0322 兵庫県養父市大屋町筏288番地の1
tel.079-669-1100