レポート

培った経験値から生れる新商品

但馬醸造所(管理開発課)

2016.03.18

今回は、おさんぽ但馬では2度目の取材となる但馬醸造所です。
ちょうど今、コラボ商品の開発をされているとの情報をキャッチしましたので、開発部門である管理開発課でお話を伺ってきました!

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但馬醸造所は平成18年に廃校となった旧大屋町立西谷小学校を活用されている企業です。
決して間違った写真を載せているわけではありません・・・
*因みに、前回の取材記事はこちらからどうぞ!
いろんな商品の開発業務は、こちらの元理科室で日々行われているとの事ですが、当時の学校そのままの内装です・・・まるでタイムスリップしたかの様な、ノスタルジックな気分になります。

実務をこなしながら、ゼロから経験を積んだ

20160307_tajima_zyozo_07教室前の表示も『理科室』のままです。
昔ながらの漢字(フォント)で温かみが感じられてこういうの好きですね~。
開発部門と理科室・・・これも一種のコラボレーションではないでしょうか。

お邪魔しまーす!   ガラッ! ・・・黒板消しは落ちてこないですね、すいません。

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おお!これはまぎれもなく理科室!でも、見慣れない機器もたくさん並んでいます。
「どうぞ、そのままお入りください」と声をかけて頂いたのが本日取材させて頂く、若さ溢れる『管理開発課の和田 さん』です。
因みに食品の開発って、私はこれまであまり触れたことのない分野です。
興味津々ですね、早速お話をお伺いします。

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早速ですが、和田さんが但馬醸造所へ就職したきっかけはなんですか?

「そうですね、大学を卒業した後すぐには就職先が決まらなくて、故郷の養父市に帰って来たんですけど、その時、父がこの但馬醸造所を紹介してくれたんです。
最初はアルバイトから使って頂き、その後、正社員として『頑張ってみるか?』と声を掛けて頂き今に至っています。」

最初はアルバイトだったんですね。
とても真面目で誠実な印象の方です。そういったところが認められたのでしょうね。

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「でも実は、醸造の事は何も知らなかったので、何をするにしても、まず何をすればよいのかが全然わからなかったですね。
色々と勉強しながら業務をこなしていったら身に付いてきたって感じです。」

 

 

 

なるほど、日々の業務の中で経験を積み重ねて今に至っている訳ですね。
因みに開発業務って主にどんな事をされているんでしょうか。

「但馬醸造所には3つの部門があります。
①生産部門 ②醸造部門 ③管理開発部門です。
私が所属する管理開発部門では、書類関係の管理、監査立会い対応等を行いつつ通気発酵の作業も行っています。

20160307_tajima_zyozo_21通気発酵ってなんですか?

「通常のお酢は上面発酵といってじっくり時間を掛けて発酵させるのですが、私たちが行う通気発酵というのは、機器を使ってエアーを送り、撹拌(かくはん)して短時間で発酵させる醸造方法の事です。通気発酵したものは酸味が強いのが特徴で主にドレッシングを製造する際の原材料になります。」

 

機械による測定結果だけでは完了しない開発業務

商品によって醸造方法も異なるのですね!

ところで新商品の開発はどういった手順で行われるのですか?

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「はい、まず一つの流れとして大友工場長よりこんなお酢を作ってみないか?といった提案を頂く事があります。それ以外では業者さんからこれと同じ成分のお酢を作ってくれないか、といった依頼を頂きます。」

二通りのアプローチがあるんですね~、同じ成分のお酢の製造っていうのはあまり開発のイメージではない様な気がします。

「新商品の開発イメージではないですが、これがなかなか難しい作業なんです!先ず頂いたサンプルを分析器にかけて、使用されている成分を洗い出します。また、分量も容器に記載されている事があるので、それらを参考にサンプルを作っていきます。ところがそれだけでは同じ味にはならないんです。分量は0.1g単位で管理しててもです。」

ええ!?そこまで分量を厳密に管理してても同じ味にならないってどういうことなんでしょうか?

「原材料をただ混ぜ合わせて製造する訳ではなく発酵という工程がありますので、全く同じ酸味のお酢にするのはなかなか難しいんです。」

そうか!発酵の工程は言ってみれば機械仕掛けではないので同じ物を作るのは、蓄積された経験とノウハウが重要なんですね~ 一朝一夕ではいかない工程ですね!

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「本当にそうなんです。以前、特に苦労したのは、ある業者様のご依頼で、サンプルに頂いたお酢と同じものを作ったのですが、設備では全く違いが分からないところまで作りん込んだのに、実際に人(依頼者)が味わった際、違うと指摘されたことがります。
成分、分量には違いが無い為、何をすれば良いのかが全く分からず、本当に苦労しました。(苦笑)
お酢は実際に食べるものと合わせてみないと本当の味の評価は出来ないんですよね。
今となってはそれも良い経験となり今の開発業務で活きています。」

そうですよね~、人の味覚で判断する部分、生きた微生物による発酵という工程、この二つを合致する様に商品を開発するのは、時には失敗もしながらたくさんの経験をされてこないと上手くコントロールできないと思います。

 

これまでの経験があるからこそのコラボ商品開発

 

ところで今、コラボ商品を開発中とお聞きしたのですが・・・

「ああ!やってますよ!今は、ブランド豚の小田垣さんとゆずぽん酢を開発中です!」(*小田垣さんちの八鹿豚の詳細はこちらから

八鹿豚

▲小田垣さん家の八鹿豚

但馬のぽん酢 華

▲但馬のぽん酢 華

但馬のゆずぽん酢

▲但馬のゆずぽん酢

あのストレスがない環境で育てられ、餌にケーキを与えられる事で甘みが増した八鹿豚とぽん酢のコラボレーションですか!普通のぽん酢で頂くだけでも間違いなく美味しい事が想像できますが・・・どんなぽん酢になるのでしょうか。

「小田垣さんより、『八鹿豚の甘みを損なわず、ゆずの香りがもう少し欲しい』との要望を頂き、ゆずの量を増やすことになったのですが、ぽん酢にはすでに沢山の原材料が入っており、ゆずを単純に増やす事ができません。ゆずを増やした分、他の成分を減らしバランスを取る必要があります。
そこでまず選んだのが、多様な原材料が沢山使われている『但馬のぽん酢 華』です。沢山の原材料が入っているのでゆずの成分を増やしても、他の成分を減らしやすく酸味はそのままでゆずの風味だけを増やしたぽん酢にする事が出来たんです。また、ゆずの風味で醬油辛さも緩和できました。

また、出汁を効かしてほしいとのご意見もあり、利尻昆布や枕崎のかつお節を使って出汁がしっかり効いている『但馬のゆずぽん酢』も試してみました。
最終的にはこれらを足して2で割った様な商品に落ち着きました。将来的にはゆずも自社で栽培した物だけで生産できればと考えています。」

なるほど~!最初に狙うべき味を明確に決めておき、これまでの経験を十分活かし、足し算だけではなく引き算、割り算の要素も入れ、ベースの製品を決めサンプルを作っていくんですね。
因みに今、中身(ぽん酢)の開発はほぼ完了したとの事。間もなく実際に味わえるんではないでしょうか!楽しみです!!

「これから商品ラベルや商品名を考えていきます。商品名には変わった物が多いですけどね(笑)」

大友工場長

▲大友工場長(工場内にて)

いえいえ、そのネーミングも魅力の一つではないかと思います!
ちなみに商品名は開発担当の和田さんが考えられたりされるんですか?

「ほぼ大友工場長が考えています。最終的な判断は必ず大友工場長が最終確認しますね。商品だけではなく従業員の事も良く見られていると思います。」

やっぱり一番重要なところは、工場長がきっちり確認されるんですね!前回の取材でお世話になりましたが、本当に従業員の方や地域を大切に考えられておられますよね!
それでは最後に、和田さんの但馬のおススメを教えて下さい!

 

 

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地元(大屋)の川です! アマゴ、ヤマメが棲んでいて淡水魚の中では別格でとても美味しいです。
子供の頃から良く川で遊んでいましたしね。
また、釣りも趣味で以前は渓流釣りもやっていました。いまでは、海釣りがメインで時期がくれば夜中から出掛ける事もあります!

和田さん、今日は普段知ることの出来ない開発関連のお話しを聞かせいただき有難うございました!

但馬醸造所(管理開発課)

〒667-0322 兵庫県養父市大屋町筏288-1
tel.079-669-1100