レポート

香住が好き。但馬地産の会2015年10月定例会

湯宿 川本屋

2015.10.19

但馬地産の会2015年10月は、香住(かすみ)に来ました。野崎です。
但馬の美味しいものを食べる。語る。広める会。
そんな「但馬地産の会」におじゃまさせて頂く「但馬の食の勉強」+「実食」と言うおいしいレポートです。

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なんでしょう?
なんでもその昔、総理官邸でつかわれていたものだそう。

歴代のどんな偉人を照らしていたんだろう。
その灯りは今、兵庫県美方郡香美町香住にある「湯宿 川本屋」のロビーを照らしている。

 

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天井の大きな張は、ご主人が慕っていた祖父の代に建てたものの張と、父の代に建てたものの張を使っている。先代が大事にしていたものをできるだけそのまま使い、足りない部分を三代目の新しい木で建てた純木造二階建ての宿。大黒柱に最近は使わない鎹(かすがい)を差している。

 

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「子はかすがい。主人の好きな言葉なんです」

そんな、人を大切にする気持ちが体全体から伝わってくるような笑顔のおかみ。法子さん。
生まれも育ちも香住。大きなホテルの娘として生まれた。
小学校のころから、学校から帰ってランドセルを置いたらすぐ工場でお手伝いをしていた。土日は、お土産屋さんで「浜坂ちくわ」の販売。早くちくわを完売して遊びたい一心で、お客さんに「これが最後ですよ~」と言うと、お客さんが一気に押し寄せる。買ってくれて店頭になくなると、またドンと出す。お客さんと、かわいい少女の心理戦。この時に、ものを売る楽しさとノウハウを学んだと言う。

 

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そんな環境で育った少女は、実家のホテルレストランを仕切るたくましい高校生になった。
当時、1日に300人~1,000人の食事の入れ替えを法子さん筆頭に高校生10人くらいでバーッと一斉にする。
後輩に産業道路の脇のカニを溶かす大きなコンテナで鍋を洗う指示をし、それが済んだら、次の入れ替え作業にかかる。そんなバリバリの高校生。働くことに関しては全く苦とは思わず、肝が据わっていた。
それから数年して、ご主人と出会い川本屋に嫁ぐことに・・・
はじめは、若いころのバリバリの経験から「民宿?楽勝だな」と軽く考えていたそう。
ところがどっこい。今まではリーダーだったことに対し、今度はお舅さんお姑さんに遣えると言うギャップ。そしてホテルの流れ作業とは全く違う民宿ならではの一対一の接客と言う経験に、当時は毎日涙したそう・・・
その時、19歳のころ地元の数名で神戸やいろんなところに香住のPRの為に毎週通っていた時の事を思い出した。今まで地元だけが行動範囲だった少女が色んな人と出会い、外からの香住に対しての認知度やイメージをはじめて肌で感じることが出来た。商売気質だった少女は、自然に聞き入れ、あらためて香住が好きになったことを思い返した。

 

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実は、嫁いで3年目に大きな鉄筋コンクリートに建て替える計画があった。先代が三代目と法子さん夫婦の事を想っての計画だっただろう。でも、10年待ってほしいと夫婦でお願いした。子供が小さい間は手をかけて育てたかったというのもある。そして、それから・・・自分たちがやりたい宿探しが始まった。
時間を作っては、旅行や食事に一緒に出掛け、気付いたことがあればメモをとるようにした。ご主人も法子さんも自分がやりたい宿がどんな宿なのかが、どんどん具体化してゆき、設計士へイメージを伝えるまでになった。インテリアや小物すべてにおいてもご主人と二人で集め、今の純木造2階建て、客室7部屋の宿が完成した。

 

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7部屋というのは、おかみの法子さんがすべての部屋を回ってお客様にご挨拶のできる部屋数。
小物はお母様や叔母様の手作り。そこから、お客さんとの会話が生まれることもある。

「なるべく手づくりのものでおもてなししたい」そういう想いが随所にある。

 

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お料理に関してもそう。仕入れと調理はご主人が自らやる。
なるべく地元のものを使い、お品書きは作らない。

そのとき、採れる新鮮な魚や食材を使い「今日は、こちらのお魚が入りましたので、お料理はこちらにさせて頂きました」というと、そこでまた会話が生まれる。

 

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川本屋には、こんなお客様への愛が溢れているんだなと感じた。
昔は、旅館さえあればお客さんがどんどん来た香住だったが、時代が変化し、いかに特徴をだすかをずっと問い詰められている感じがする。
「商売がしにくくなったというのもあるが、自分がして貰ってよかったなということをすれば、お客さんが喜んでくれるのではないかと考えて、今はそのようにしようと思っています。あえて、香住弁で方言そのままにお話をして、旅情を感じて頂いたりして・・・」
そう話すおかみは、子供達と旅行に行くと「すぐになんでも商売につなげるから面白くない」といわれるそう。(この記事を書いている野崎も子供から同じような事、言われています。笑)
「でも、そう考えることを常にやっているおかげで、今年は去年よりお客さんが増えています。関東など遠方のお客様も来て頂いて、この不景気にありがたいと感謝しております。最近は、ご予約のお電話の声でお名前を聞かなくても、どなたかわかるんですよ。」
お客様の8割がリピーターと言う驚異のリピート率! 地産の会のメンバーもびっくり。

 

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「目が行き届く、サービスがしたい」

そんな、法子おかみのいる川本屋は天然温泉の露天風呂もおすすめ。
(入りたかった・・・)
ホームページでチェックしてね。

http://www.kawamotoya.co.jp/theme11.html

 

 最後に一言!おかみさんの好きな場所はどこですか?

 

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湯宿 川本屋 おかみ 川本法子さん

「朝の凪の日本海に浮かぶ遊覧船から見る、香住のまちです。」

 

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湯宿 川本屋

〒669-5321 兵庫県美方郡香美町香住区下浜653-16
0796-36-0613